市長の企業訪問記

パナソニック株式会社

訪問日:2016年02月15日(月)

 今回訪問した企業は、千歳市第2工業団地に立地する「パナソニック株式会社」です。
 パナソニック株式会社オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)デバイスソリューション事業部熱・ノイズソリューションビジネスユニット北海道工場は、昭和45年に北海道松下電器株式会社として、千歳市で操業を開始し、熱・ノイズ対策商材の設計開発、生産を行っています。

 パナソニックの北海道における製造拠点は、千歳と帯広にあり、千歳の北海道工場はAIS社のデバイスソリューション事業部に所属し、主に熱ソリューション、ノイズソリューションに係る製品を担当しているそうです。
 熱ソリューションでは、多様化する熱課題を解決するため、放熱シートや断熱シート、超小型温度センサーを設計開発、生産しており、スマートフォンや車載機器などに使用されているそうです。
 放熱シートの『PGSグラファイトシート』は、高い熱伝導率が特長で、シート状のため加工が容易で、狭小・複雑な形状にも対応できる北海道工場の主力商品とのことです。
 『PGSグラファイトシート』の事業は、産業分野での熱課題解決への貢献が認められ、市村産業賞や大河内記念生産賞、文部科学大臣賞など種々の表彰をいただいているそうです。
 スマートフォンやウェアラブル端末では、熱による液晶色むらや低温やけど対策として、放熱シートや断熱シートで熱をコントロールしているとのことですが、北海道工場では、昨年から柔軟性断熱シート『NASBIS』の量産を開始しています。
 『NASBIS』の性能をわかりやすく体験するために、熱したホットプレートの上に100μm(髪の毛1本の太さと同じぐらい)の厚みの『NASBIS』を置いて、シート上と直接プレート上に、それぞれ氷を置くという実験を見せていただきました。直置きの氷はすぐに溶けだしましたが、シート上の氷は全く溶けず、非常に高い断熱性能を確認しました。
 ノイズソリューションでは、発電所や産業機器から一般家電や車載機器まで幅広く、あらゆる電子機器を落雷や静電気などの異常電圧から守る部品を設計開発、生産しているそうです。静電気対策の積層バリスタの中には、指で摘まめないほどの微小なものもあり、これほど小さなものに優れた技術が詰め込まれていることに驚きました。
 北海道工場で生産する部品は、スマートフォンなどの用途に使用されるためリードタイムが短く、ほぼ航空便で出荷しているとのことで、空港近接の千歳の立地環境は非常に便利とのことでした。
 懇談では、北海道工場勤務で初めて北海道に住むことになった若手技術者の方から「千歳の印象は、生活面では程良く都会で暮らしやすく、近郊にウィンタースポーツを楽しめるところもあり、プライベートも充実している。千歳に住んで良かった」とうれしい言葉をいただきました。
 近年は、『PGSグラファイトシート』をはじめとする熱ソリューション事業が大きく伸び、堅調に推移していると伺いました。昨年から『NASBIS』の量産化も始まり、工場のライン増設や雇用の確保についても期待しております。
 山下工場長をはじめ、お忙しい中対応いただきました皆様に改めて感謝いたします。